英語習得はラクじゃない
安易な教材、安易な方法に飛びつかないことです
英語の習得はそんなに甘いものでは決してありません
そのことををあなたは本当は知っているはずです
少し考えたら誰でもわかるはずです。あなたは日本語を自由に苦もなく話せるはずですが、その日本語を身につけるのにものすごい集中力でものすごい量の練習をしているはずです。そのことを今のあなたは忘れているに過ぎません。
赤ん坊の頃のあなたはもちろん言葉など話せません。おなかがすいている、オムツが気持ち悪い、それくらいのことなら泣けば周りが理解してくれるので、困りませんでした。ところが、何かが欲しい、それは食べたくない、何かをどけて欲しい、なにかを見たい、それは後にしたい、どうしてそうなの? だんだん伝えたいことが複雑になってくると、泣くだけではどうにもなりません。周りを見ていると、どうも口からいろいろな音声を出して、コミュニケーションをしている。そこであなたは自分の欲求と好奇心を満たすため、ものすごい集中力で、周りの大人たちの会話を聞いたはずです。そしてほとんど四六時中いろんな人があなたに話しかけ、あるいは人が話しをしているのを聞いてきたはずです。頼れるものは日本語だけです。他の言葉に訳すことなどもちろんありえません。つまり、あなたはこれ以上ないほど集中できる環境で、毎日日本語のシャワーを浴び続けるという理想的な環境で日本語を修得してきたのです。それでも何とか言葉らしいことがあなたの口から出てくるまでにたっぷり2年ほどはかかりました。それでもまだまだぜんぜん不完全です。
もちろん大人が言葉を学ぶ際には赤ん坊にない有利な点もあります。それはよりすぐれた分析力と思考力です。ですから言葉の習得は同じ環境なら、大人の方が有利なはずです。ところが大人が赤ん坊と同じ環境に身を置くのはまず不可能です。
一つは集中力でしょう。赤ん坊の頃のあなたにとって言葉は勉強の対象ではなく、自分が生きていくために理解し使いこなせるようにならなければならない緊急の課題なのです。赤ん坊が言葉に払う興味と集中力は、いまのあなたの比ではありません。
もう一つはあなたがすでに一つの言語を身につけてしまっているという事実です。この場合日本語ですが、あなたは外国語を学ぶさい、あなたが赤ん坊の頃日本語を修得してきたときのように純粋にその言葉だけを聞いて消化していくことが困難になっています。赤ん坊の頃のあなたは一切の言葉を知りませんから、日本語は日本語だけで理解するしかなかったのです。非常に理想的といえます。ところがいったん日本語を修得してしまったあなたは、外国語を学ぶ際、いちいちその言葉を日本語のフィルターを通して理解してしまおうと、どうしてもしてしまいます。ですから、純粋にその言葉に接することが困難になっているのです。この二つのことを考えると、やはり大人は赤ん坊より語学の修得に関しては不利です。
事実が証明しています。私はアメリカの大学に教師として、あるいは生徒としていたころも、実に多くの日本人留学生を見てきました。留学して確かに立派に英語が話せるようになったと言える人はほんの一握り、10人中1人いればいいほうです。多くの人がアメリカに住んでいるという事実に安心してしまい、住んでいれば話せるようになるだろうぐらいの幻想を抱いたまま貴重な年月を過ごしてしまうからです。英語習得のための勉強をおこったってしまうのですね。その反面、日本にいながらにして、英語がぺらぺらと言えるレベルになった人を私はたくさん知っています。そして、彼らは私が見てきた多くの留学生とは比較にならない涙ぐましい努力をしております。
いづれにしても言葉の習得に最高の環境に置かれて、毎日ものすごい量の練習をしてきても2年かかってやっとあなたは片言の日本語を話せるようになったのです。ほとんど努力もしないで、例えばCDを聞き流しているだけで、英語が話せるようになる。ほとんど努力しなくても誰でも英語が口をついて出てくるようになる。そのような教材を本当に誰かが開発したとしたらそれはノーベル賞ものでしょう。
私は今でこそ英語を教えることを職業とし、英会話学校を経営しております。生徒は若干の中学生以外は全て大人です。その中には英語教師、英会話学校講師、帰国子女の方もいらっしゃいます。これまでにはアメリカ人に英作文の指導をした経験もあります。それなりのプロ意識とプライドも持っておりますが、私は決して人より優れた資質があったわけでもありません。高校生のときの英語の成績は中ぐらいでした。もちろん全く話せません。私が本当の意味で英語の勉強を始めたのは大学を卒業してからです。それまではyes,noも上手くいえないどこにでもいる日本人の一人でした。
そんな私ですが、ほんの一ヶ月ほどニューヨークに滞在したときに、英語が話せないことの情けなさに愕然とし、一念発起英語の勉強を始めることにしました。それこそありとあらゆることをしました。手探りの状態で人がいいということはほとんど試しました。ずいぶんお金も使いました。甘い言葉に踊らされ、無駄なこともたくさんしてしまいました。私と同様、大人になってから英語がぺらぺらに話せるようになった人は同様の苦労を経験されているはずです。でも、だからこそ本当に何が必要か誰よりも分かるのです。
英語が使えるようになりたい! 多くの人が願っていることでしょう。でも時間がない。なかなか長続きしない。覚えることが多すぎる。いろいろ大変な事情があり、ついつい安易な甘い言葉に誘われて在り得ない効果をうたった教材や、無責任な英会話学校に無駄なお金をつっかってしまいます。
英語の習得は大変です。簡単であるはずがありません。その事実から目をそらさないことです。それでも必要ならやるしかないのです。だとすれば自分にウソをつかず賢い選択をすることを願っています。
私のこの訴えに共感されたとしたら、一度私のサイトをじっくり読んでみてください。その上でご判断いただければ幸いです。
SELF English School 代表
深堀 司朗