ほとんどの英語を勉強されている方が英語の聞き取りが苦手だといいます。リスニングほど独学で十分練習できるスキルはないはずなのに。それはなぜ聞き取れないか、本当の理由が見えていないからです。そこを改善するところから始めて、あなたのリスニング力アップのとっておきの方法をご紹介します。(ここは弊社が提供するレポートの内容とも重複します。)

1.聞き取れない理由

「どうして英語をなかなか聞き取れないのだと思いますか。」
と聞いてみると、大体次の様な答えが返ってきます。

  • 英語の音に慣れてないから。
  • 単語を知らない。
  • 早く話されると分からない。

これらは全ておそらくその通りなのでしょう。最初の二つに関しては解決策は明らかです。
慣れていないのなら慣れればいいのです。

一つ一つの単語を聞き取ってやろうと集中してたくさん英語を聞けば、必ず耳は聞き取ってくれるようになります。単語に関しても、知らないものは知っていけばいいのです。ただしここで知っているというのは前述したように使いこなせると言う意味ですが、あせらず徐々に語彙を増やしていくしか仕方ありません。

では三つめの「早く話されると分からない」ということに関してはどうでしょうか。実はここに聞き取れない最大の問題があり、そのことを認識している日本人英語学習者はあまりいません。「早く話されると分からない」と言っている人の多くが、実は「早すぎて一つ一つの単語を聞き取れない」というわけではないようです。

多くの外国人は日本人を目の前にして、普段と同じスピードで話したりはしません。私自身比較的日本人に馴染みやすいスピードで話していても、「もう少しゆっくり話してください」とか「すみませんもう一度お願いします」とか言われます。聞き取れない単語や知らない単語があるかというと、いつでもそうとは限りません。どうしてか。

文単位で英語を理解しようとしているからです

実はこれが最大の問題なのです。いくら耳を英語の音に慣らして、語彙を増やしても、文単位英語を聞き取ろうとする限り、あなたは決して英語を聞き取れるようにはなりません

文単位で理解しようとする人は、先ず一つの文全体を眺めなければなりません。そのために言われたことをいったん記憶してその文を頭の中に描かなければなりません。記憶するためには時間が必要となります。ですから少しでもゆっくり話してもらうことが必要になります。文が長くなればそれだけ多くの時間が取られます。一つの文の作業をしているあいだに、相手は次の文を言っているでしょう。しかし作業中はその文に集中していますから、次の文など聞き取れるどころかその余裕すらないはずです。ですから仮に単語を全て聞き取ることが出来たとしても、最初の一文しか聞き取れないことになります。最初の一文が理解できたときには、相手はもう随分先の方まで話してしまっているからです。これでは一文一文だけの、しかもテンポの非常に遅いキャッチボール的会話しか出来ません。ましてや日本語に訳すことは論外です。英語と日本語では情報の与え方の順番がかなり違いますから、一文を全部聞いてから、日本語で理解しやすい情報の順番に並べ替えるという作業をして、意味を理解する。致命的なほど、さらに時間がかかります。

英語を聞けるようになるには、英語を英語のまま、文単位ではなく、小さな情報のまとまりを、与えられる順番頭から消化していくような聞き方をしなければなりません

日本語の時はそれができているはずです。あなたが、日本語の文を聞く時、文を聞き終わると同時にその全ての意味が理解できているはずです。そうしないと、瞬時に情報を処理しなければならないリスニングに対応できません。そのためにも話すときから、文単位ではなく、小さな情報のまとまりの足し算をしていくように話す癖をつけていくことが大切です。さもないと、さらに困難なリスニングに於いてそれが出来るはずがないからです。

 

英語で考えるためのコツの3つめで、“文を作らない”事を強調した理由の一つもリスニングにあります。ではどうしたらいいのでしょう?

ただ、やたらとたくさん聞いているだけではあまり効果はありません。
誤解しないように。英会話は耳から。これは紛れも無い事実です。たくさん聞かなければなりません。私のいう意味は“ただ闇雲に聞くだけでは、聞き取りの練習に使う時間がもったいない”、ということです。もっと効率的な方法があります。

それは読むことです

えっ?と思われましたか。
では、まずなぜ聞き取れないか考えてみてください。あるいは以下のビデオをご覧ください。



聞き取れないというのは二つの意味を持っているはずです。

  • ①ネイティブの発音や早さに耳がついていけず、単語が聞き取れない。
  • ②単語は聞き取れているけれど、すぐに意味が分からない。

①の問題は、やはりたくさん聞いて耳を鍛え、スピードに慣れることです。しかし②の問題はただ聞いていても、そう簡単に解決できる問題ではないのです。単語は聞き取れている、一応全ての単語の意味は分かっている、でもすぐに意味が分からない。だから考え込んでしまう。考えているうちに次のことがもう話されている。だから、最初の一文で止まってしまうと、もうあとはぜんぜん聞けない。いや、聴き取る体制にすらなっていない。 ②の問題が起こるのは、要するに、あなたの頭が、まだ英語を聞いた順番に頭から即座に情報処理し、理解するようになっていないからです。英語を訳すことばかり押し付けられた日本の英語教育の結果、英語はいちいち一つの文を全部読んでから、それから意味を考える。そんな習慣がついてしまっているからです。そんな状態の頭で、いくらたくさん聞いても、なかなか聞き取れるようになるものではありません。

ではどうするか? 

簡単な英語で書かれたものをたくさん読みましょう。
難しいものから始めると、どうしても訳そうとしてしまいます。そして、意味のまとまり、チャンクともいいますが、ごとにただ単に頭から、頭から読むというより、情報を拾うように理解していくのです。例えば、

Jenny doesn’t like the kind of TV programs her husband likes to watch because they are all sports programs she is not interested in, and he never talks or listens to her when he is watching TV.

このような長い文を全部読んでから理解しようとしては、とても時間がかかってしまいます。そうではなく、頭から頭から、チャンクで理解していってください

Jenny doesn’t like → Jenny は嫌いなんだ。(何を?)

the kind of TV programs → ある種のテレビ番組ね

her husband likes to watch → ああ、旦那が好きなタイプね

because they are all sports programs → それって全部スポーツ番組だからなんだ

she is not interested in → それで Jenny は興味が無いんだ

and he never talks or listens to her → そいでもって会話が無いんだ

when he is watching TV → 旦那がテレビを見てるときね。

なるほど

ゆっくりでもかまいません。このような頭から意味のまとまりを拾うような読み方が出来ることです。それが読むときに出来ないと、聞くときに出来るはずがありません。聞くときはあなたのペースでは出来ませんし、圧倒的に速いですし、待ってくれません。

ですから、とりあえず自分のペースで出来る“読む”ということによって、英語を頭から理解していく習慣をつけるトレーニングをすることです。このトレーニングをしながら、同時に英語の聞き取りのトレーニングをしていけば、何倍もの効果があります。(弊社プログラムはこの練習が音でできるよう工夫してあります。)