多くの方が英文法の勉強を嫌がります。それは必要のない知識を詰め込まされてきた学校英語のせいでしょう。あなたの英語勉強から無駄を省くためにも、やる必要のないことはやらないことです。あなたに必要ないこととは英文法を説明することです。

必要ない英文法の知識とは

英文法の修得は絶対に必要です。これまで3,000人以上の生徒さんを見てきましたが、英文法が分かっている人と、そうでない人とでは上達のスピードは、やはり全く違います。また、文法を理解する努力をしない人は結局、フレーズを覚えるだけの英語力で終わり、応用も出来ないし、いつまでたってもブロークンな眉をひそめてしまうような英語から抜け出せないんですね。それについては別の記事で詳しく述べさせてください。

ただ、あなたは英文法の試験でいい点を取るために英語力をつけたいはずではないはずですよね。例えば私たちは以下のような問題を英語の試験でやった記憶がありますよね。

問題
以下の3つの英文の不定詞の用法は名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法のどれですか。それぞれ指摘しなさい。

  1. Bruce decided to read a book every month.
  2. Bruce went to the library to read a book.
  3. Bruce has a book to read.

ちなみに以下が正しいこたえですね。

  1. 名詞的用法。to readは”読むこと”という意味でdecideの目的語。
  2. 副詞的用法。to readは”読むために”という意味でwentを修飾。
  3. 形容詞的用法。to readは”読むための”という意味で前のbookを修飾。

こんな教わり方をあなたも私も中学校のときにしましたよね。英語嫌いが増えるのも当然だと思いませんか?英語をコミュニケーションの道具として使いたい人にとって、それが名詞的、形容詞的、副詞的用法、どれであろうがどうでもいいことのはずです

そんなことは知る必要もないし、説明できる必要もありませんし、英語が話せる人は誰もそんなことを考えて英語を話していません。ましてや、to readは読むこと、という名詞的意味でdecideの目的語、そんな発想では何年たっても本物の英語は話せません。

あなたがやるべきは感覚での習得です。

不定詞は理解してください、ただし、その感覚を肌で感じるような理解です。感覚で理解する人は、この場合はこうなる。この場合はこうだ、と分ける必要は無く、一つのイメージで全て理解できるので、シンプルで無理が無く、スムーズに話せるんですね。不定詞の感覚は次の二つを捕らえるべきです。

  • 意味を補う
  • これからやる

ここではこれ以上の説明は長くなるので、できませんが、のプログラムでは、to 不定詞の感覚とイメージを感じるように理解しないとto不定詞は使いこなせないんですね。~用法などといった通り一遍の知識ではなく、最初に多少の時間はかかってもto不定詞をあなたの語感、あなたの一部のようにすることが大切です。そうすればto不定詞を使った他の表現も喉をすんなり通るように納得できますし、名詞だの、形容詞だの意識せずに感覚的に使えるようになります。それが本当の文法の修得なのです。もちろん、他の全ての文法事項においてもこういった知識でない感覚に訴える理解が必要なはずです。


ルールはシンプルであるほどいい

英文法と言うと、分厚い英文法参考書をイメージしませんか?あなたが目指すことは英語が話せることです。そのための英語の仕組みとルールの体得です。それはあまり複雑すぎると、身につきませんよね。私は以前アメリカの大学で4年ほど日本語を教えていたことがあります。 英語を日本人に教えるための何らかの突破口を開くため、また自分の見識を深めるためですが、そこで大きなことを学びました。

日本経済が世界を席巻していたころ、世界中の人々が日本企業で働いてお金をかせぎたいと思っていました。安い外国人労働力は簡単に手にはいりましたが、言葉の壁がありました。そこで外国人に日本語を教える日本語教育はとにかく日本語が話せる外国人を育てたい。という目的の元に練り直されていて、文法も我々が学校で学ぶ文法とはまるで違い、簡略化され、 シンプルで、日本語文を作りやすい、話すための日本語文法になっています。

例えば、我々が学校で学んだ未然、連用、終止、連体、仮定、命令、などといった活用などは無視して、変わりに “かったです”、“ことがあります”、“ない形”、などを学び、中でも、 “て”の形、というのがあるのには感心しました。

  1. 書きます → 書いて
  2. 食べます → 食べて
  3. 読みます → 読んで

“て”のかたちは以下のように幅広く使います。食べて+から、食べて+来ます、食べて+もいいですか、食べて+はいけません、食べて+います 食べて+しまう 食べて+みるなど、様々な応用がきき、この “て”の形を覚えることによって、生徒の日本語の表現の幅は大きく広がります。日本の英語教育も、このような実践的発想で再構築すべきなのではないか、そう思い知らされたように感じたことを今でも強く覚えています。30年以上会話英語を指導してきて、生徒さんを観察し、このときの日本語教育の発想で英語の仕組みを生徒さんに理解して欲しい、そういう考えの元に多くの方の英会話上達を助けてきたつもりです。簡単に少しだけ紹介すると、

  • 補語などわけのわからない概念は要らない。(私は英語がほぼ自分の日本語と同等くらいに話せる様になって、ようやく補語とは何なのか分かりました。)
  • 不定詞の3用法などどうでもいい。不定詞は一つ
  • 第一目的語、第二目的語、そんな区別は必要ない。
  • 時制の一致?そんなこと気にして英語は話せない。
  • 5文型?2文型の理解で十分。
  • 関係代名詞の目的格、主格、そんなこと意識する必要は全く無い。

等々、常識にとらわれない、話せてナンボの発想です。例えば、上にあげた2文型の理解で十分とはどういうことか、以下に簡単に説明しましょう。

文型は二つだけ

John is handsome. He looks cool.
これはSVC

I want my coffee black.
これはSVOC

そう答えられるように覚えたものです。本末転倒です。文型と言うものはそれが英文構築の指針となり、助けとなって始めて意味があります。特に私には補語と言うものが何なのかさっぱり分かりませんでした。英語を本当の意味で話せるようになったとき、振り返ってみて、”ああ、なるほど、補語とはそういうものか、でもそれは英語を分析する人が知っていればいいことで、英語を話す上で、何が補語なのか知っている必要ないな。”それが実感です。


文型は


S + V
S + V + O

この二つだけです。この二つがしっかり分かり、英語の発想が身についている人にとっては、あとの三つの文型は当然の結果として、言えてしまう構造です。補語も、それを補語として意識して話してはいません。ルールはシンプルであればあるほどいいはずです。二つ身につけば、あとの三つは勝手に言えてしまうんですね。英語の仕組みはおそらくあなたが考えている以上にシンプルです。それをことさらこねくり回し、難しく教えてきたのが、日本の受験英語用英文法です。会話のための英文法をここでもう一度一から学べば、あなたの英語力は飛躍的に向上するはずです。

ここまで英文法を説明するための英文法の勉強は必要ないことをのべてきました。参考になっていれば嬉しく思います。私がここで文型について述べたことをさらに分かりやすく理解していただくために、参考となる動画を用意しました。お時間のある時に観てくださいね。