英単語を知らないと、もちろん英語は話せません。ただ、多くの方が英単語の勉強の仕方が見えていません。語彙力があることとはどういうことか、誤解があるからです。効果的で無駄のない英単語の勉強法とは・・・

1.単語力とは

語彙力とは?

あなたは語彙力(ボキャブラリー)があるということの意味を本当にわかっていますか?そこを分かっていないと、英単語学習も無駄の多いものになります。物理的に言うと、英語を話すことは沢山の英単語を口にすることです。ですから、英語を話したいあなたが語彙力をつけることはあなたの緊急課題です。

では、語彙力があるとはどういうことでしょう。そこを誤解している方が多いので、間違った勉強の仕方になります。語彙力があるとは、たくさん英単語を知っていることではありません。わたしは上智、早稲田、慶応、東京大学、などの難関大学に合格したばかりの大学1年生に英語を教えてきていますし、今現在もそう言った学生さんがわたしの生徒さんにいます。厳しい受験英語を勝ち抜いてきた彼らは、沢山の英単語を知っていますが、彼らの英会話力は一番下の初級レベルです。
ほとんど話せませんし、英語が口から滑らかに出てくることとは程遠いレベルです。ようやく絞り出す英語も、非常に不自然な聞き苦しい、日本人英語でしかありません。彼らは沢山の英単語を知っているだけだからです

本当に語彙力があると言うのは、
「使いこなせる英単語を沢山持ち合わせている」
いや、これでもまだ本物の語彙力の定義にはなりません。いくら多くの英単語を使いこなせても、その英単語が普段の生活の中でほとんど使われることのない英単語だと、あまり役にも立ちません。

本当の語彙力とは
使いこなせる使用頻度の高い英単語を沢山持ち合わせている
だとすると近道は見えてきます。

あなたが知っている単語の中で、使用頻度の高い単語で、使いこなせていないものを、まず使いこなせるようになることです
それは圧倒的に基礎英単語のはずです。ネイティブは会話の99%は基礎英単語を駆使してこなします。ところが日本人のほとんどがこの基礎英単語を使いこなせないので、代わりに難しい単語を使い、さらに意味が伝わらない、という悪循環を繰り返します。

例えば、次のようなことを言いたい時、

  • 優先順位をつける
  • 新しい部署に配属される
  • 気分を変える
  • 仕事を任せる
  • 何かに書き留める
  • 言い方を変える
  • 何かを終結させる
  • 行動に移す
  • 何かを正す、明らかにする

このようなことを言いたい時に使う動詞は全てputです。あなたがそのようなputの使い方ができた時、あなたはput を使いこなせていると言えます。

想像してみてください。あなたが今はおそらく、“ただ知っているだけ”の単語、go, get, play, sure, good, bad, in, on, at, to, up, meet, point, こういった単語も同様にいまのあなたの、誇張ではなく、何十倍もの使い方で使いこなすことができているときに、あなたはどんな英語を話しているか。日本人臭さの取れた、実に自然なわかりやすい、それでいて誰もが一目置くような英語を話しているはずです

もっとアカデミックな英単語を学習したい。それを否定するものではありません。ただし、基礎英単語を使いこなせない人は、より高度な英単語は決して使いこなせません。

例えば、私の生徒さんで、prioritize という単語を頻繁に使われる方がいらっしゃいました。

prioritize = 優先順位をつける、優先させる

このようにガチッと覚えてしまっているので、日本語で優先させる、みたいな意味を言いたいときはいつでもこの単語を使われます。

仕事より家族を優先させる、
1. I prioritize my family than my work.とか、

容姿より性格を優先させるべきだ、
2. You should prioritize character than face. とか、

安全が何より優先されるべきだ
3. We must prioritize safety than all the other things.

などと、言った具合です。

これらをprioritizeでなんとか言おうとして、言えなくはないでしょうが、いかにも日本語の訳といった感じで違和感があります。例えば、次のように言ったほうが自然です。

  1. I put my family before work.
  2. Character is more important than looks.
  3. Safety should come first (before anything else).

このように言える人が、与えられた仕事の優先順位をつけなければならない、みたいなことが言いたい時に、
I need to prioritize my tasks.
と言えるようになれば、本当の意味でprioritize という単語をネイティブのように自然に使い熟すことができるようになるんですね。

イメージで理解しようとない人は、結局一番頼りない記憶力に頼るしかない。ですから、いくら覚えても永久に忘れ続けます。


2.どのように学習するか

単語帳などで、なじみを持たせる。
誤解しないように。私はよく電車の中などで、英単語必須500などの単語帳に赤いプラスチックのシートをかぶせて、じっと眺めては宙をみて必死で英単語とそれに一対一対応で与えられる日本語訳を暗記しようとしている高校生などを見かけます。何も言えませんが、心の中で、やめなさい。といつも言っています。単語テストなどでいい点を取るためには必要なのでしょうね。でもそれだけです。むなしくなるほど必ず忘れます。

私がお勧めするのは、今後様々な英文や耳にする英語の中で出会うであろう英単語や英熟語にあらかじめ出会っておいて、ある程度の馴染みを持たせ。というそれだけの意味です。決して無理に暗記しません。リラックスして、へーそうなんだ、と初対面の英単語、英語表現、英熟語と今後親密になって行くための第一段階として普段から馴染みを持たせることです。そうして次のステップも同時に行います。ビデオにまとめました。参考にしてください。

一つの単語や熟語を単語帳などでずっと眺めて、頭に入れようとしても、時間と労力の無駄です。それではその英単語は決してあなたの一部になって使いこなせるものにはなりません。一つ二つの例文を読んでも同じことです。

一つの英単語を本当に理解し、使いこなせるようになるためには、その英単語に様々な違った状況、違った分脈、違った時制で何度も何度も接し続けなければなりません。単なる知り合いから、友人になり、恋人になる、その過程と似ています。そんな出会いを増やすために、沢山読み、沢山聞くことです

本当の語彙力の定義をもう一度確認してください。

「使いこなせる使用頻度の高い英単語を沢山持ち合わせている」
多読、多聴をすれば、使用頻度の高い英単語ほど、何度もお目にかかります。あなたにとって重要度の高い英単語とは、使用頻度の高い英単語です。ですから、多読、多聴をすることによって、あなたが習得すべき重要度の高い単語から、あなたの頭に馴染んで行きます。特に、ボヤっとしか頭に入っていない英単語にお目にかかった時、えっと、なんだっけ、この文脈だから、うーん分かんない。そこで辞書をひいて構いません。あっそうだ、こういう意味だったよ。と思い出します。そのときあなたの頭にその英単語はグイっと深く入っていきます。あるいは辞書をひかなくても、意味を思い出せるときもあります。その時はさらに深くグイグイと入っていきます。少しずつ馴染ませた英単語は決して単なる日本語訳とは結びつかず、そして忘れません。使うべき時にすぐに出てきてくれて、聞いてもすぐにわかります。

これが近道です。

先を急いで、同じ道を何度も行ったり来たりするよりも、はるかに効率的です。
しかも、よく考えてください。あなたは同時にもう一つの大きな効果を得ることになります。
英語を沢山読んだり聞いたりすることによって、あなたのリスニング力も英語の理解力も飛躍的に向上します。それについてはこの後の項でさらに詳しく述べましょう。

3.使ってみる

英単語、英熟語は使ってみることで定着します。もしあなたが職場で英語を使う機会があったり、外国人の友達がいたり、あるいは英会話学校やオンライン英会話などで英語を話す機会があれば、積極的に学んだ表現を恐れず、使ってみましょう。そうすると通じないこともあります。そのときあなたはさらに学べます。これでは通じないんだ。そしてその使い方をもう一度考える機会が与えられ、間違った理解も解消されたりします

使うチャンスがなければ、絶対にリピーティングをする

もし、あなたが人と英語を話す機会がほとんどないとしても英語を話す練習はできます。私がやった方法です。徹底的なリピーティングです。学習すべき英単語や英熟語を含んだ英文を、しっかり聞いて、あたかも自分がその文を作って話しているように気持ちを込めてリピートします。

私は手当たり次第にリピートしました。一つの文やテキストにこだわらず、どんどん新しいものをリピートしました。そうしたほうが様々な英単語、英熟語との出会いを増やすことができるからです。同じ表現に違った分脈、違った時制で何度も出会いを重ねることはここでも大切です。

以上、語彙力のつけ方について解説しました。皆様の英語学習の手助けになっていれば幸いです。